ひらめくために
- 作者: 茂木健一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/04/15
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 24回
- この商品を含むブログ (112件) を見る
ひらめきには落ち着ける環境が必要だというのは、
睡眠と学習の関係にも関連している。
睡眠が記憶や情報の整理にとって有効なのは、
睡眠そのものの効用ではなく、睡眠が、外部の情報をシャットダウン
する上で、これ以上ない環境を提供してくれるからだ。
人は、ただ目を開けているだけでも、多くの情報を無意識のうちに読み
とっている。そうした環境から遮断されることが、ひらめきや学習にとって
最適だということなのでしょう。
92p
≪人間の記憶は絶えず編集されている。
1度蓄えられたら、そのままの形でとどまっていることはない。≫
これに関連するエピソードとして、記憶がとても正確な人の話が
出てきます。その人は、人がしゃべったことを、そのままの形で、
そっくり再現できるそうです。
では、彼のどこが「優れていた」のか?
実は、彼は情報を編集する能力が欠如していたのです。編集できない
からこそ、情報が「そのままの形」「生の形」で保存されているため、
「そのまま」取り出すことができるのです。
言い換えれば、私たちが記憶を「正確に」再現することが難しいのは、
記憶の編集が絶えず行われているからなのです。
141p
≪(適切な)不確実性は、感情を活性化する≫
脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める (生活人新書)
- 作者: 築山節
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2006/11/08
- メディア: 新書
- 購入: 130人 クリック: 1,222回
- この商品を含むブログ (326件) を見る
昨日紹介した本でのまとめでも書きましたが、暗記にとってもっとも
大切なのは、常にアウトプットを意識すること、試験を受ける状況
を設定することでした。
試験を受ける状況とは、まさに≪不確実≫な状況です。
試験の前は、誰だって「不安」になるでしょう?
けれど、それが成功した際の報酬が確実に期待できるだけ、
≪適切≫だといえるのではないでしょうか?
そうした状態でなされる学習は、不確実性ゆえの感情の活性化により、
効果の期待が大きくなります。
日垣さんの本の私的楽しみ方
本の紹介として、日垣さんの方法は大変参考になります。
第一に、敷居が高くない。
『すぐに稼げる文章術』の「必読33冊」が典型ですが、
- 作者: 日垣隆
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/11/30
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 130回
- この商品を含むブログ (130件) を見る
『文章術』系の本は、たいてい漱石と芥川などの「文豪」や、
武田百合子や森茉莉のエッセイなど、まぁ読む人が読めば素晴らしい
のでしょうが、幸か不幸か「利口」に生まれなかった私のように人間には、
ちょいと敷居が高すぎる。
特に、武田百合子のエッセイが「分からない」ときた日には、
なんだか人間性が否定されたような気にすらなったものです。(苦笑)
その点、日垣さんが紹介されている本に関して、その心配は無用です。
もちろん、「稼げる文章」を書くための必読書だという制限があること
は確かです。それでも、例えば『福田和也の「文章教室」』
- 作者: 福田和也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/08/01
- メディア: 単行本
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
よりは、(稼ぐために)読まれる文章を書くための本として、
遙かに参考になると思います。
つまり、「日垣本は、ブックガイドとして活用すべし」というのが、
日垣さんの本(文章)とつきあう上での第一条件となります。
それを念頭に置きながら日垣さんの活動を追っていくと、
①週に1度配信されるメールの目次にあがっている本を購入する
②『文藝春秋』で紹介された新書を購入する
などして、読書の幅が広がっていくこと請け合いです。
①を参考にして最近買って「得した」と思った本に、
(右図などがあります。どちらも大変ためになりました。
日垣さんのサイトを週一回のぞいて「1読即決」をチェックする、
『文藝春秋』を立ち読みして「新書1点賭け」をチェックする。
本を読むのが面倒だけど、最近の流行をとりあえずチェックしたい。
そんな人が始める習慣術として、上記の方法を採用してみてはいかがでしょうか?
「数に強く」なれなかった私へ
畑村洋太郎著『数に強くなる』を読む。
- 作者: 畑村洋太郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/02/20
- メディア: 新書
- 購入: 6人 クリック: 71回
- この商品を含むブログ (130件) を見る
茂木さんは、情報は脳の中で(半ば無意識に)編集されている
と述べているのに対して、畑村さんは、情報を漫然と受け流している
だけでは、情報は編集されないと書いている。
当たり前のことで恐縮だけれど、ここで確認しておこう。
やっぱり、脳がいかに働き者だからといって、勝手に情報を編集
してくれると思ったら、虫が良すぎるだろう。脳関連の本を読んでいると、
脳というのが魔法の箱のようなもので、例えば睡眠中に勝手に
情報を整理して、使いやすいよう整えてくれるような錯覚に陥るけど
(ってわたしだけ?)、きちんと使ってあげなければ、いくら勤勉な
脳だって働きませんよ。
脳に働かせたいなら、まず君自身がきちんと働くべきだ。
最初にきちんとこう書いておいてくれれば、脳に対して
抱いてしまいがちな万能感も、払拭できるのにねぇ。