ひらめくために

ひらめき脳 (新潮新書)

ひらめき脳 (新潮新書)

52p
 ひらめきには落ち着ける環境が必要だというのは、

睡眠と学習の関係にも関連している。

 睡眠が記憶や情報の整理にとって有効なのは、

睡眠そのものの効用ではなく、睡眠が、外部の情報をシャットダウン

する上で、これ以上ない環境を提供してくれるからだ。

 人は、ただ目を開けているだけでも、多くの情報を無意識のうちに読み

とっている。そうした環境から遮断されることが、ひらめきや学習にとって

最適だということなのでしょう。

92p
 ≪人間の記憶は絶えず編集されている。

1度蓄えられたら、そのままの形でとどまっていることはない。≫

 これに関連するエピソードとして、記憶がとても正確な人の話が

出てきます。その人は、人がしゃべったことを、そのままの形で、

そっくり再現できるそうです。

 では、彼のどこが「優れていた」のか?

 実は、彼は情報を編集する能力が欠如していたのです。編集できない

からこそ、情報が「そのままの形」「生の形」で保存されているため、

「そのまま」取り出すことができるのです。

 言い換えれば、私たちが記憶を「正確に」再現することが難しいのは、

記憶の編集が絶えず行われているからなのです。

 141p
 ≪(適切な)不確実性は、感情を活性化する≫

 
 

脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める (生活人新書)

脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める (生活人新書)

 昨日紹介した本でのまとめでも書きましたが、暗記にとってもっとも

大切なのは、常にアウトプットを意識すること、試験を受ける状況

を設定することでした。

 試験を受ける状況とは、まさに≪不確実≫な状況です。

試験の前は、誰だって「不安」になるでしょう?

 けれど、それが成功した際の報酬が確実に期待できるだけ、

≪適切≫だといえるのではないでしょうか?

 そうした状態でなされる学習は、不確実性ゆえの感情の活性化により、

効果の期待が大きくなります。

日垣さんの本の私的楽しみ方

 本の紹介として、日垣さんの方法は大変参考になります。

 第一に、敷居が高くない。
 
 『すぐに稼げる文章術』の「必読33冊」が典型ですが、

すぐに稼げる文章術 (幻冬舎新書)

すぐに稼げる文章術 (幻冬舎新書)

 とにかくどれも読みやすい。なおかつ手に入りやすい。

 『文章術』系の本は、たいてい漱石と芥川などの「文豪」や、

武田百合子森茉莉のエッセイなど、まぁ読む人が読めば素晴らしい

のでしょうが、幸か不幸か「利口」に生まれなかった私のように人間には、

ちょいと敷居が高すぎる。

 特に、武田百合子のエッセイが「分からない」ときた日には、

なんだか人間性が否定されたような気にすらなったものです。(苦笑)

 その点、日垣さんが紹介されている本に関して、その心配は無用です。

もちろん、「稼げる文章」を書くための必読書だという制限があること

は確かです。それでも、例えば『福田和也の「文章教室」』

福田和也の「文章教室」

福田和也の「文章教室」

よりは、(稼ぐために)読まれる文章を書くための本として、

遙かに参考になると思います。

 つまり、「日垣本は、ブックガイドとして活用すべし」というのが、

日垣さんの本(文章)とつきあう上での第一条件となります。

 それを念頭に置きながら日垣さんの活動を追っていくと、

①週に1度配信されるメールの目次にあがっている本を購入する

②『文藝春秋』で紹介された新書を購入する

などして、読書の幅が広がっていくこと請け合いです。

 ①を参考にして最近買って「得した」と思った本に、

まず「書いてみる」生活―「読書」だけではもったいない (祥伝社新書)イキガミ―魂揺さぶる究極極限ドラマ (1) (ヤングサンデーコミックス)

 (右図などがあります。どちらも大変ためになりました。

日垣さんのサイトを週一回のぞいて「1読即決」をチェックする、

文藝春秋』を立ち読みして「新書1点賭け」をチェックする。

本を読むのが面倒だけど、最近の流行をとりあえずチェックしたい。

そんな人が始める習慣術として、上記の方法を採用してみてはいかがでしょうか?

「数に強く」なれなかった私へ

 畑村洋太郎著『数に強くなる』を読む。

数に強くなる (岩波新書)

数に強くなる (岩波新書)

 この本の中で気になったのが、

茂木さんは、情報は脳の中で(半ば無意識に)編集されている

と述べているのに対して、畑村さんは、情報を漫然と受け流している

だけでは、情報は編集されないと書いている。

 当たり前のことで恐縮だけれど、ここで確認しておこう。

やっぱり、脳がいかに働き者だからといって、勝手に情報を編集

してくれると思ったら、虫が良すぎるだろう。脳関連の本を読んでいると、

脳というのが魔法の箱のようなもので、例えば睡眠中に勝手に

情報を整理して、使いやすいよう整えてくれるような錯覚に陥るけど

(ってわたしだけ?)、きちんと使ってあげなければ、いくら勤勉な

脳だって働きませんよ。

 脳に働かせたいなら、まず君自身がきちんと働くべきだ。

 最初にきちんとこう書いておいてくれれば、脳に対して

抱いてしまいがちな万能感も、払拭できるのにねぇ。