2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧

80年後のレモン〜阿部和重『ミステリアスセッティング』

これは現代版『檸檬』だな、というのが読後の感想です。 梶井基次郎の『檸檬』において主人公は、落第を繰り返した末、当時の「知」の中心であった丸善を、レモンを爆弾に見立てて爆破する妄想を抱きます。 阿部和重の『ミステリアスセッティング』は、人に…

明日は「待っている」か

今朝の鳥越さんの朝日の記事を読んで感じる違和感を一言で言えば、明日が「待っている」という考えは、もう通用しないのではないか、ということだ。 〈いじめられている君〉は、今ある社会で〈いじめられている〉のに、その社会の中で「希望」を見つけろとい…

ワーキングプア2といじめ

最近朝日新聞の朝刊に、「いじめられている君へ」なるタイトルで、「いじめられている君へ」の「励まし」のメッセージが掲載されている。そこでの論調としては、おもに「希望」をといていることが多い。いわく。 「今はつらいかもしれないけど、きっと希望は…