石原千秋先生新刊

今月は、石原千秋先生の新刊が2冊刊行される。

その1冊目。『国語教科書の中の「日本」』(ちくま新書)。

国語教科書の中の「日本」 (ちくま新書)

国語教科書の中の「日本」 (ちくま新書)

 少しずつ読み進めているが、いつもの石原先生の著書の「傾向」から言えば、国語教科書が、いかに「日本」というイデオロギーを生徒に「刷り込んでいるか」を暴く内容になっているのだろう。例えば、以下の引用文が雄弁に物語っている。

 ・・・美味しそうなおむすびの向こう側には「古き良き時代のお袋」の姿がほの見えてくる。もちろん、子供にはその姿は見えないだろう。見えないからこそ、イメージ戦略として成功するのだ。つまり、子供の潜在意識(サブリミナル・マインド)に働きかけるということだ。

 ・・・私がこうしたことを問題にしたのは、出版社の編集者や教科書の編集委員がこれを意識して国語教科書を創ったなどと判断したからではない。むしろ、おそらく意識しないで「自然」な感覚で編集したらこうなってしまったことこそが大きな問題だと考えたからである。


 石原先生の授業を大学時代に受けていたとき私は、「自然な感覚」で発語・行動している自分自身を「メタ化」して見る視点を学びました。
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