人と人との繋がり

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る (光文社新書)

ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る (光文社新書)

自壊する帝国

自壊する帝国

 これら3冊に共通するキーワード。

 それは、人と人との繋がりが、歴史的転換点において、極めて大きなファクター

として機能しているということだと思う。

 どんなに私たちにとって手の届かないように見えることでも、

そこには必ず、人間が存在している。

 それは仲間同士のこともあれば、時にはライバルであったりもする。

ライバルの研究上の成果を盗むことだってあるだろう。

けれど、それも一つの繋がりだと考えれば、それ以外には、その研究なり

事件なりは、進展も後退もあり得なかった。

 他人の研究業績を横取りして、まるで自分が発見したかのように語ることは、

当然糾弾されてしかるべきである。ただ、現在の地点から眺めてみれば、

そのように歴史が進んでしまったことに対して、「偶然」では片付けられない、

歴史の必然を感じてしまう。

 人と人とが出会うのは、一体なぜなのか?

 なぜ「かれ」は研究者になり、「あの研究者」とライバル関係になって、

「あの研究者」に業績を横取りされなければならなくなったのか?

そして、一方で「あの研究者」はノーベル賞の栄誉を授かり、「かれ」は

業績を認められることなく、早くに命を失うことになったのか?

 もちろん答えなどないこの問いに、「歴史の必然」という回答を、わたしが

差し出すとすれば、結局「歴史」というものが、後から語られるものでしかない

ということを証明することになってしまうのであるが・・・。

 『生物の無生物のあいだ』を媒介するのも、

 『グローバリゼーション』を媒介するのも、

 『帝国の崩壊』を媒介するのも、

人と人との、どうしようもなく、くだらない、嫉妬や憎悪の、

ほんの行き違い、すれ違いから生まれるのかもしれない。