『音楽を考える』
- 作者: 茂木健一郎,江村哲二,江村哲二
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/05
- メディア: 新書
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≪本物にふれる≫ということについて。
どんな子どもにだって、一度ぐらいは「本物」にふれた経験がある。
そこでの感動が、一生の思い出になることだってあるだろう。
けれど、その子が日常に戻ったとき、「本物」は、手の届かない、
どこか遠くのところにある。
食事をするときでも、テレビをつけていなければ、その「沈黙」や「退屈」に
耐えられない大人が大半を占めている現状を考えると、いくら「本物」を経験して
感動しても、くだらないものが日常にあふれているために、すぐ忘れ去られてしまう。
つまり、茂木さんや江村さんのご家庭のように、文化や教養が、日常として当たり前に
あった環境を持っていないと、いくら「本物」を経験させたとしても、それを圧倒的な
「量」で上回るジャンクによって、たちまち浸食させられてしまうということだ。