大人は分かってくれない
①聞く
営業における大切な資質として、人の話を「聞く」点が強調される。
私が会社に就職してからこの約1ヶ月、繰り返し聞かされてきた話だ。
なぜ「聞く」ことが大切なのかといえば、人はなんだかんだいって自分のことを
話したいのだから、気持ちよく相手に話をさせてあげることで、信頼関係を
築き、こころを開かせることができる、というわけだ。
②
いざ現場に出てみると、これが案外難しい。
どうしても、「意見」や「アドバイス」をしたくなってしまう。
相手の話をじっくり聞いているつもりが、いつのまにか口を挟んでいることに
気づくことがよくある。
そんな時、「はっ、しまった」と思うことになるわけだが、そうなったらもう、
時既に遅し。相手の心を開かせるどころか、自分が話せたことで満足して話が
終わってしまっているなんてことは、しょっちゅうである。
③
ところでこの「聞く」という資質についてだが、確かに営業という現場においては
大切なのだろうが、こと私に限っては、大人がこんな「狡猾な」トークスキルを
身につけていたら、ちょっと「かなわんな」と思う。
最近会社の同僚と話をしていて、私が昔いじめにあって苦しんでいたのだけれど、
周りの大人は全然それに気づいていなかったといったら、「大人って何にも分かって
くれないって、なんか絶望的ならなかった?」と言われ、なんか違う、と思った。
その「なんか違う」という感じを一言で言うと、むしろ私は分かってくれなかった
ことに感謝していた。親になんて特に、絶対に知って欲しくなんてなかった。
④
このように屈折した思いを同僚に「告白」したところ、分かったような分からないような、
何とも煮え切らない態度を示していた。結局彼女も、「分からなかった」のである。