「内なる難民」と「Inner Universe」
『コンテンツの思想』に触発されて、攻殻機動隊SAGを観た。
このアニメの主題歌の題名が、「Inner Universe」であることは興味深い。
リチャード・パワーズは、村上春樹作品を評してこう述べる。
≪村上春樹の作品は、後期グローバル資本主義がもたらす、<いま・ここ>の感覚が失われる
恐ろしさを、そしてそのなかで生きるわれわれの内なる難民としてのありようを、あらゆる
レベルで理解しています。≫
「内なる難民」という言葉と、「Inner Universe(「内なる宇宙」)」という言葉が響き合っている。
グローバリゼーションというと、地理的・物理的・経済的な「世界化」を意味することが多いように
思える。しかし、この「内なる難民」という問題に、真剣に取り組んでいるという試みは、
あまり耳にしない。