格差社会スパイラル
[rakuten:book:12018318:detail]
読みました。参考になる点と、ちょっとつっこみを入れたい点
を以下にまとめてみましょう。
Ⅰ「つっこみ」を入れたい点
①≪若者は、夢を見ることしか逃げ場がなくなった≫という発言。
あのぉー、若者って、そんなに馬鹿じゃないと思うんですけど。
夢を見ることを「言い訳」として使っているだけであって、「逃げ場」
としているわけではないのでは?
「夢を持て」とさんざん言われ続けてきた私たちにとって、
「夢があるから」ということが、親や社会にとっての最大の皮肉なのです。
だってそうするしかないでしょう。
「勉強しろー」「夢を持てー」と言われ続けてきた私たちは、
「勉強して」「夢を持つ」ことしか親や社会にしてやれることはない。
それが社会貢献であり、唯一社会に認められているという実感をもてた
時間でした。
それが「ゆとり教育」が導入されたあたりから、「勉強なんてしていると
馬鹿になる」なんて言われだし、最近ではまた「勉強しなきゃ、
このさき単純労働に甘んじるしかない」といわれる。
でも、この「単純労働」だって、もとはといえば日本国外の人間に
さんざんやらしてきたことを自分たちがやらなきゃいけなくなったって
ことでしょう?自分さえやらなきゃいいのか?
だったら、俺たちが引き受けてやろうじゃないの。そう考えている
「若者」だって少なくないはずです。世の中の論調を見聞きしていると、
「単純労働=悪」みたいに言われているけど、それって単に、自分が
やりたくないからってことでしょう。
企業のトップや、大学で創造的な仕事をしている人にとっては、
確かに耐え難いことかもしれない。だけど、自分たちがやらなければ、
結局は外国の低賃金労働者が代わりにやることになる。それは、
「平和」だの「愛」だのをさんざんたたき込まれてきた「若者」に
とって、想像するのも耐え難い苦痛なのです。
ポスコロ理論や第3世界フェミニズムが明らかにしてきたのって、
そういうことじゃなかったの?学者さんが、「単純労働」に甘んじる
フリーターやニートを批判するのは、お門違いなんでないかい?
②昔は携帯電話も普及していなくて、恋愛関係に至るハードルが高かった
ため、≪だから昔の恋愛関係は、長続きした≫というのですが、
本当でしょうか?恋愛関係が長続きすることは、「良い」こと
なのでしょうか?
③携帯電話の普及により、容易に人を信じられなくなったといいます。
なぜなら、間に合わせの時間に遅刻しそうになっても、携帯で連絡すれば
いいと考えるようになった結果、相手の発言の信憑性が疑われるように
なったからだというのです。
それはちょっと、「若者」をなめすぎではないかと思います。
私の中学生時代は、まだポケベルがやっと出てきたかな、という程度の
時期に当たり、携帯電話を持っている同級生なんてほとんどいなかった
ように記憶しています。
そんな私でも、中学生時代に深刻な人間不信に陥りました。
その原因は、いじめです。いじめというのは、なんだか突然巻き込まれて
いるものです。昨日まで普通に話していた人間の自分に対する態度が、
突然変化するのです。
その経験から、私は簡単に人を信じちゃいけないんだということを
強烈に意識させられました。決して、携帯電話のせいではありません。
子供って、大人が思っているより早熟だと思う。
④≪相手を信用するかどうか、その演算が脳の発展に寄与した≫といいます。
これは、②とどういう整合性を持っているのでしょうか?誰か教えて
くださると、幸いです。
Ⅱとても参考になった点
①≪フィードバックとは、部下の進んでいる方向に、複数の視点を与えて
やることだ。≫
≪複数の視点≫というところが重要です。部下の成果に対する
フィードバックが、部下に対する強制になるのではなく、あくまで
部下が自発的に進んでいる方向に対し、自分で内省できる回路を
作るためになされるべきだということです。
②部下が求めているのは、≪努力に対する保証≫
つまり、目標を設定し、課題を見つける中で、
それをすることで、自分の「なに」がレベルアップするのか、
そういうことを具体的に明らかにしていくのが必要ということ。
私もアルバイトをしていたとき、単純労働からいかに多くを得るか
を念頭に仕事をしていました。同じ仕事でも、気持ち次第で得るもの
は多いはずです。単純労働=悪とは一概に言えないと思います。
③≪自分で判断し、自分で行動するときに良い結果を出す≫
いかに≪自分で≫考えていると思わせるかに、上司の手腕はかかっている
ということでしょう。