「自分以外は馬鹿ばかり」は、若者の傾向か?

 俗流若者論によれば、今の時代は「自分以外は馬鹿ばかり」の時代だという。例えば、当然受かると思っていた就職活動にことごとく失敗した若者が、「俺(私)を採用しないなんて、全く馬鹿な会社だよ」なんていったりすることをさして言うようだ。
 
だが、この「自分以外は馬鹿ばかり」という風潮は、若者特有の現象というより、古くからある考えをずっと聞かされ続けてきた結果なのではないか、と私は思っている。
 
とあるレストランでバイトしていたときの話。自分を優秀だと思っている社員の口癖は、「上のやつ」または「同僚のあいつは」なんにもわかっちゃいない、というものだった。「優秀な俺」から見て、「現場を知らない会社経営者」や、一緒に現場で働いてはいるけど「無能な同僚」は馬鹿で、「優秀な俺」だけが会社のこと、現場のことをよくわかっている、という愚痴を聞かされたものでした。
 
ここで大切なのは、そうした愚痴を言っているのが、一人ではないということです。つまり、批判した相手に、批判した当人が批判されているという構図が明らかにできあがっているのです。
 
テレビドラマなんか見ていても、よく居酒屋の場面であるでしょう。若手を飲み屋に連れて行った先輩社員が、さんざん上司の悪口をいうなんて光景は、一昔のテレビドラマの定番だったように思います。
 
若者は、こうした言説を「学習」しているのです。親がさんざん家庭で言っている愚痴、つまり、会社の上司が以下に無能か、という話をさんざん脳にすり込まれてきた結果、自分を棚に上げて上司をけなすのが悪いことではない、と思うようになったのではないでしょうか?