萱野稔人 × 鈴木謙介

「”規範なき現在―model失効社会のネクストフェイズに”」
日時:12月5日(土) 午後3時から6時
場所:東京外国語大学 大学会館 大集合室


参加してきました。






 多磨駅周辺、何もなさすぎて驚く。

 1時30分ぐらいについたので、近くのカフェでコーヒーでも飲んでようかと思ったけれどそれもできず。
 
 ひたすら歩き回っていました。


 1.会場後

 予約をしていなかったため立ち見に。
 「大集会室」にしては、やけに小さいのはご愛嬌。
 開始後30分たったら座っていいとの司会者からのお話。
 とりあえず話しに集中する。

 まずは萱野先生からの「外大」が置かれている状況について。
 1%削減が外大にとっては相当痛かったらしい。

 非常勤講師が削減され、そのしわ寄せを常勤講師が食っている。
 非常勤が受け持っていた授業を専任講師が受け持つようになった結果、仕事が膨大になる。

 次に「規範なき社会」について。
 今までとの大きな違いは、低成長時代になり、進歩が見込めないことを、社会全体の共通事項としてみなが認めた時代になったというのが、ここ2・3年の大きな変化だという話。「いい大学」「いい会社」に入り、それなりにがんばっていけば、社会が豊かになり、個人の生活も豊かになるはずだという幻想が完全に崩れたのが、ここ2・3年の話だということ。
 それをcharlieは、「普通」が信じられなくなった社会ができつつあると話を補足。その「普通」こそ、「いい大学」「いい会社」「いい…」という<規範>になっていた。


 2.会場後30分後ぐらい、やっと座れる

 この時間ぐらいから、就活の話題へ。
 正直、社会人の私にとっては、この話題は少々退屈だった。

 就活についてのまとめは、以下のような感じ。

 昔の普通の就活は、一生働くための会社を、少数の会社から選ぶ「お見合い系」方式。
 それに対して、今の普通の就活は、大量のエントリーを出す「出会い系」方式。
 情報過多によって、就活が都市伝説になっている。
 結局求められているのはコミュニケーション力。
 朝早く起きるべし。
 ・・・

 話の肝は、以下のこと。

 「学生」→→→「就活」(ブラックボックス)→→→社会人
 [1]ブラックボックスは、中にいる(就活中の学生)には見えない
 [2]日本の産業構造の転換に伴い、学生と社会人の垣根がなくなった。

 人財「像」の変換が起こった。
 求められる人財像として、(1)クリエイティブ (2)社会貢献

 今までの働き方を否定し、自己実現できる場所としての職場イメージの形成。
 つまり、これまでは「就活」がイニシエーションとして機能していたはずが、学生の自己実現と、企業が求める人財像が一致するようになってきた。

 しかし、クリエイティブな職種に就ける学生はごく少数。
 限られたパイにつける人数は限られており、就職しても着地点が分からず不安になる。

 日本では、「就職」というより「就社」であり、その所属がアイデンティティーと結びついている。つまり、パイの争い=アイデンティティーをめぐる争いになっており、それが競争を激化させる要因となっている。


 3、前半まとめ


 JobとIdentityが結びつけて考えられていることの不幸。

 産業構造の転換によって生みだされたこと→→海外に工場が移転されることにより、本社(マネジメント部門)と周辺国(単純作業)に社会構造が変化。本社(マネジメント部門)でクリエイティブな才能を発揮させることができる人財=コミュニケーションスキルをもった人材が会社から求められる。


 4.休憩

 文科系トークラジオ Lifeの長谷川プロデューサーからの訴え。
 
 もちろん買います!(で、実際買いました!)
 ただ、サイズがなくて、一番小さいサイズのを結局買うことに。
 こりゃ、着れないな・・・。そうだ、プレゼントしよう!


 5.後半戦へ
 萱野先生から。
 産業構造の転換は、2つのマイナスの帰結をもたらした。

 [1]労働状況をめぐる争い→→低賃金労働者の下方競争

 [2]地方に職がなくなる

 職をめぐる話から、charlieより。

 [1]Routine Production

 [2]Symbokic Analyst

 [3]Imperson Service

 職業が、3つに分かれる。
 そして、[3]の対人サービスが、若者が担う労働として捉えられている。

 対人サービスは、人間でしかできないが、人間なら誰でもできる労働である。
 体を動かしてお金をもらう「労働観」ではなく、感情をコントロールすることで賃金を得る「労働」であり、自給という尺度では測りがたい側面がある。

 感情労働は、付加価値を生み出さない。ここで、萱野先生から付加価値という言葉が初めて出る。ここから、付加価値という言葉をめぐる討議が活発化。

 付加価値を生み出すことで、先進国は単純なものづくりから開放される。
 たとえばナイキは、シューズ作りを海外に移転し、マイケルジョーダンをCMに起用することで、多大な付加価値を創出してきた。

 また付加価値で言えば、砲丸投げの玉があるという。確かに私は、砲丸投げの玉なんて簡単にできると思っていた。しかし、砲丸投げの玉を作るにはとんでもない技術が必要であり、多大な付加価値を持っている。
などなど。

 現代は「文化戦争」の時代である。文化格差を生み出すのは、いかにコンテンツに付加価値をつけることができるか。プラットフォームを創出できるかという話題に進む。

 ルールを作れるやつが結局は強いのか?

 コミュニケーション能力とは、コンテンツやプラットフォームやルールを作る能力があると期待される人間のことを指す。


 6.世界システムの転換
 「低成長社会」に入ったことの意味。
[1]アメリヘゲモニーの終焉
資本主義には常に中心があった。中心が変わるときは、バブルが生じた。
イタリア→オランダ→イギリス→アメリカ→・・・

これまでの「中心」は国が担っていたが、これからは国ではなく、クリエイティブクラスが担うことになる?

[2]中心にとって有利な交易権の形成
オイルショック後、石油カルテルの形成に見られるように、中心にとって必ずしも有利な交易権を得られなくなった。

 こうした構造変換を見据えながら、文科系学生は就活を進めるように!
 それこそ、文科系を選んだ「われわれ」のすうるべきことだろう。

 7.まとめ

 charlie=希望を持て「会社人」のイメージを再生産するのではなく、会社に入って中から変革していこう!

 文科系であることに誇りを持て。文科系で学んだことは、社会に出てからも必ず役に立つ。