鬼束ちひろ

i know i need to be in love

i know i waste too much time

and fool enough to think that's whta i found


Chihiro Onitsuka is fool enough to think that she is imperfect.

Chihiro knows she needs to be in love.

She knows she wastes too much time.

鬼束ちひろが「愛が必要だ」と歌ったということは、
彼女に今、愛が必要だ、ということだと思う。

彼女の自己表現は、歌詞を通じてしかなされない。
と、「彼女」を聴き続けてきた私は考えます。



考えてみると、彼女の行動は、世界のimperfectionを体現している。
私たちファンは、彼女の行動から、世界のimperfectionを感じる。

ファンという属性が機能しうるのは、ミュージシャンの言動や表現から、
世界のimperfectionの断片を読み取るときである、と私は考えます。

imperfectionこそが、人間のunique(特殊性)を担保している。
そう考えます。

世界のperfectionしか感じさせないミュージシャンは、その内飽きられ、
捨て去られる運命にあるのではないでしょうか?

トルストイの言葉をもじれば、〈完全さはみな似通っているが、不完全さは不幸の相もさまざまである〉ということになります。

不完全さからしか、私たちは、自らの唯一無二性を確認できません。

鬼束ちひろの曲を聴いて、私はとても哀しい気持ちになります。
なぜなら、彼女のimperfectioが、あまりにもperfectだからです。

徹底的にimperfectionのことを考えてきたものだけが発揮できる、imperfectionのperfectな実態を、彼女の声から感じることができる私たちは、自分のimperfectionを認めてもらったような気がして、思わず涙を流すのです。