プルーストとイカ

<つまり、読字の発達は二段階に進むということだ。
 まず、理想的な読字習得の基盤として、音韻、意味、統語、語形、語用、概念、社会、感情、構音および運動と見事に勢揃いしたシステム一式と、これらのシステムを統合・同期させて読解力の流暢さを向上させていく能力とが発達する。
 次いで、読字の発達につれて、これらの能力ひとつひとつがさらに伸びていくのである。”単語に含まれているもの”を知ることが、その単語をきちんと読むのに役立つ。単語を読むことが、その単語が知識の連続体のどこに位置するかという理解を深めることになるのだ>(327P)


 <単語を読むことが、その単語が知識の連続体のどこに位置するかという理解を深める>というのだが、日々子どもたちと接していると、「その単語」が、「知識の連続体のどこに位置するか」を全く把握できていない子が多くいて、そうした子は、「その単語」を、全く別の連続体の中で把握しているか、またはどの連続体に属するかが分からず、右往左往している瞬間を、よく見かける。

 我々がなすべきは、「その単語」と他の単語との連関を、根気強く示してあげることではないだろうか?それが、社会の中に、「自分」を位置づけるときに必要とされるスキルの醸成に、一役買うことは、間違いのないことであるように、思われる。