言葉を撮る
- 作者: ジャック・デリダ,サファー・ファティ,港道隆
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2008/03/29
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 25回
- この商品を含むブログ (17件) を見る
「言葉を撮る」
この言葉が好きだ。
言葉は、
聴くものであり、
書くものであり、
感じるものであり、
同時に、
撮るものでもある。
「撮る」といったときに私たちが思い浮かべるのは<カメラ>です。
そして、「カメラ」に対して、私たちが期待する機能とは、
対象を映し出すことです。
では、「言葉を撮る」と言った場合、その「撮る」機能を担うものは、
なんでしょうか。
それは、他ならぬ「人間」、私たち自身のことでしょう。
私たちは、「言葉を撮る」
ただし、それは<カメラ>のようにではありません。
デリダがこれまで主張してきたように、
言葉は常に「誤配」されるのですから、私たちが映し出す「言葉」は、
つねに変形され、ねじ曲がった形になっています。
この、「変形」や「ねじ曲がり」という語感から、マイナスのイメージを受け取るとしたら、それは間違っています。<カメラ>だって、対象を「正確」に「そのまま」写し取っているありません。
幼少からの教育によって、<カメラ>の機能は、映し出すものを「正確に」「そのまま」映し出すことだ、と教えられていますが、それは、事実を正確に伝えているとはいえません。<カメラ>は先ず、「何を写し取るか」という意図があって、初めて手に取られるものです。つまり、撮り手の「意図」無しに、<カメラ>が使用されることはなく、・・・。