鬼束ちひろの復帰


 11時30分からのフジテレビの番組での鬼束ちひろ

 その表情は、まるで「死者」のようだった。

 およそ「テレビに出られる顔」ではなかったように思う。

 正直ぞっとしてしまった。

 正視に耐えられず、思わず目を背けてしまった。

 それほど「昔の鬼束」を知る者にとって、また、

 あれほど勇気づけられた鬼束ちひろを知る者にとって、

 今日のテレビ出演は、あらゆる意味で「衝撃的」であったと思う。



   夢が覚めないことを きっと攻め続けたのだろう

   まだ 今はこない 次の列車を待つ


   弱さを許さないでと 誰かの思いがこぼれるとき

   世界は鼓動を重ねる まるで嘘みたいに


   going home どこかへさらってしまうなら everyhome

   それは小さな風のように

ゆれる木々の音は とてもあなたには頼りなくて

   だから旅の終わりさえ信じられない

   
   going home どこかへさらってしまうなら
 
   それは小さな風のように


   それぞれの影 願い事が

   なぜ夜を飲み込んで行ける


   どれほどの 景色を追い越せれば

   降る雨を 咲く花を そこにつれて行ける

   少しだけ何か話を そしてこの道を歩いていく

   帰る道を探すためなんかじゃなくて

   going home どこかへさらってしまうなら

   それは小さな風のように


   going home 確かな自分を守るのは
  
   そっとあるだけの力で ずっと誰かの隣じゃ

   眠れないのを それは言葉や理由にも変われないでいるのを

   ・・・ ・・・

 今はまだ来ない列車を待っているのだろう。

 彼女は。

 いつその列車は、彼女を安らぎの場所へと連れ去ってくれるのだろうか?

 これ以上、テレビの中の「鬼束ちひろ」を見ていたくない。

 それでも、最後に歌った「流星群」には、救いの光が見えていたように思う。

 わたしの知るところでは、「流星群」の映像を、PV以外で見れたのは、

 今回が初めてではないか?

 「流星群」を歌う前の彼女には、かすかな微笑みが浮かんでいた。

 最初の歌を聴いたときには、どうしようかと思ったものだが…。