高校生の勉強法

最新脳科学が教える 高校生の勉強法    東進ブックス

最新脳科学が教える 高校生の勉強法 東進ブックス

 まず前提と知っておかなければならないことは、

中学生から高校生になる頃に、脳の性質が変化するということです。

具体的には、中学生までは丸暗記が得意なんだけれど、

高校生になると論理立てた理解をしないといけなくなるのです。

それでは、始めましょう。


1.短期記憶と長期記憶
 知識・情報は脳に、どのように保存されるのか?

 まず、知識・情報は、≪海馬≫という部位に、一時的に蓄えられます。

この地点での潜伏期間は、1ヶ月です。1ヶ月たっても海馬が「これは

大切な情報である」と判断しなければ、不必要な情報として廃棄されます。

 では、海馬が「これは大切だ」と判断した情報はどうなるのか?

これは、大脳皮質という長期記憶を司る部位に保存されることになります。

こうして初めて、きちんと「記憶した」といえるのです。

 Q.海馬が「大切だ」と判断する基準はあるんですか?

 A.あります。それは、「生きるのに必要かどうか」です。

 「生きるのに必要かどうか」というと、「受験の知識なんか生きるのに

必要ないんじゃないの?」という疑問があがりそうです。その通りです。

だから、脳を騙してやる必要があります。

 具体的には、繰り返し繰り返し、何度も何度も脳に情報を送ることで、

「こんなに何度も送られてくるんだから、大切な情報に違いない!」

と脳に勘違いさせましょう。


2.忘却曲線
 「忘却曲線」をご存じでしょうか?

 「忘れる速度」は、人によって異なると思われがちですが、

実は個人差はありません。暗記した直後がもっとも忘れやすく、

時間がたつにつれて忘れる量は少なくなってきます。

 これは実感としても諒解できるのではないでしょうか?

印象的なことはいつまでも覚えているけれど、それ以外の些末なことは

終わった瞬間忘れてしまうなんてこと、あるんじゃないでしょうか?

 Q.効率的な暗記方法はあるの?
 
 A.①適切な時期に、②同一内容(同一対象)を復習することです。

まず適切な時期、学習した翌日に1回目

        1回目の復習から1週間後に2回目

        2回目の復習から2週間後に3回目

        3回目の復習から1ヶ月後に4回目

この間隔を守って、同一内容(対象)を繰り返し復習しましょう。

つい他の参考書などに手を出してしまいがちですが、復習の効果が

もっとも顕著に表れるのは、同じものを繰り返し繰り返し復習すること。


3.睡眠学習→夢は記憶の再生
 睡眠は、記憶の整理・整頓に不可欠です。

①その日仕入れた知識・情報を整理・整頓する。(新−新)の関係。

②過去の記憶と、新しく組み合わせ、新たな結合を生み出す。
       
                  【(新−新)−古】の関係。

4.LTP=長期増強という現象
 この現象は、神経細胞を繰り返し刺激(=復習)することで、

神経細胞の結合を強化することです。記憶は、「あらたな神経回路の形成」

と簡単に定義することができますが、この定義をしっていれば、

神経細胞の結合強化」とは、「記憶の強化」の言い換えであることが

分かります。

 Q.繰り返し刺激しろって言うけど、回数を少なくする方法はあるの?

 A.2つあります。

①「シータ波」(=好奇心)を出すことです。

 わくわく、どきどき、興味を持って対象に接することです。

 子供のように、新鮮味を失わないようにしましょう。

②「扁桃体」(=感情を司る)を刺激する

 喜び、悲しみ、怒りなどの感情を利用しましょう。

 例えば、テスト(試験)への不安・緊張が、扁桃体を活性化させ、

記憶を助けてくれることがあります。

 しかし、過度の緊張や不安は、脳へのストレスを高め、

記憶の障害になりかねません。

 ≪マンネリ化せず適度な緊張感を保ちながら、LTPを起こす

シータ波(興味)と扁桃体(感情)という2つの秘訣を適切に

活用≫するように心がけましょう。

脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める (生活人新書)

脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める (生活人新書)

 
 以前にも紹介した上記の書物。

 ここでは、「常に試験を受けている状態」を推奨していました。

いきなり「どかん」と重たい課題を処理することは、長期的にみると

とても負担が大きい。だから、低いハードルを着実に一歩一歩越える

よう普段から心がけていれば、負担は少なくてすみます。


5.1つの分野に習熟する
 人によって、好きな分野と嫌いな分野があると思います。

思い切って、好きな分野を徹底的に極めてみましょう。

 1つの分野に習熟することの最大の利点は、

その分野の知識・理解を深めることではなく、

知識を「理解する方法」「習得する方法」もまた、

同時に(無意識のうちに)獲得しているということです。

 

 この知識を「理解する方法」「習得する方法」は、

誰かに教わるものではなく、自分で身につけなければならないのです。
 
 
 そして、「学習の転移」という現象によって、その「方法」は、

他の分野を理解するとにも無意識のうちに応用されます。

勉強をする意味は、まさにこの点にあります。

 これから先、大学や社会で「学ば」なければならない機会は無数に

あります。そのとき、高校生のうちにきちんと勉強し、

「理解する方法」「習得する方法」を身につけておけば、

後々凄く有利です。