『レスラー』について
- 出版社/メーカー: NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)
- 発売日: 2010/01/15
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映画『レスラー』は素晴らしい。
しかし、その「素晴らしさ」とは、「感動した」とか「泣ける」とかではなく、その度しがたく救いようのない生き様に対して感じるそれです。
主役のランディはとんでもなく不器用です。
薬をやってハイになった勢いでSEXした挙句、娘との食事をすっぽかしただけでなく、バイト先も自分の一方的な都合で自分から辞めていきます。
そして、現実世界とうまく付き合えないと自覚したや否や、一度放棄したはずのプロレスの舞台に戻ろうと決意します。
なんて身勝手なのでしょうか?
私の周りにこんな勝手な人間がいたら、正直うんざりします。
「おいおい。勘弁してくれよ」と。
例えば『闇金ウシジマくん』であれば、こんな身勝手な人間は、ウシジマくんの手によって確実に闇に葬り去られていたでしょう。
日本の漫画の凄みは、「感動」「泣ける!」ところにあるのではなく、「ダメなやつは地獄に落ちるものだ」という価値観を冷静に語ることで、子どもに対して、厳しい、けれど身も蓋もない現実を教える土壌があるところです。
ランディのような人間は、もっともっと苦しんで死ぬべきです。
決して、美化されて語られていいものではありません。
もしこの映画が「感動」として語られるのであれば、それは間違っています。
この映画は、「反面教師」として語られるべきです。
決して今後、ランディのような「勘違い」をしないために。